汚屋敷生まれ、汚部屋育ち。

汚部屋脱却を目指し、むらさきが奮闘するブログ。

モノ持ちの良さと、愛着

私はほとんどの所持品に関して、モノ持ちがいいと胸を張って言える。

必要に駆られて買うものだとしても、複数の商品を比較した中で気に入ったものを買い、使っているので、当然愛着を持って使用しているため長く使えるのである。

その中でも代表はズバリ、傘である。

傘といえばビニール傘から高級傘までピンキリだが、比較的簡単に手に入り、また常時携行・使用するものでもない(雨が降っている時しか必要にならない)ため、多くの人が置き忘れを経験したことがあるだろう。

また、強風の日に使用し、壊してしまったことがある人も多いだろう。

しかし、私は1本の傘を10年間使い続けた経験がある。

中学入学の際、祖母に買ってもらった5000円の傘。 デザインも可愛らしく、相当気に入っていた。 どちらかといえば高級傘に分類されるため、ある程度強度もあった。

そのため、私は傘を使うのが楽しみだったし、電車などに置き忘れるだなんて言語道断。 強風の日は出来るだけ傘に変な負担がかからないように差し方に注意した。

その傘を使っていく中、大学卒業頃には大雨の日だと傘のてっぺんの部分から伝い漏れをするようになっていた。 普通の雨なら大丈夫だったが、大雨で耐えきれなくなるのはさすがに寿命だろうと使用を諦めた。 10年間分の雨を受け止めてくれた相棒の傘には本当に感謝したし、今でも実家に予備傘として置いてある。

そして就職した際、今度は父に傘を買ってもらった。 某ブランドの傘である。 予算は先代の傘と同じ5000円を想定していたのだが、デザインが相当可愛くてその傘しかもう目に入ってこないほどであったため、1万円のその傘を手にした。 形も柄も、本当に気に入っていた。

やはり値の張る傘だけあって、強度はかなりのものだった。 社会人になれば当然飲み会も学生時代より多く、酔って帰る際には傘を忘れる人も多いと思うが、私は忘れなかった。

…と書くのは大袈裟で、本当は数回置き忘れたこともあったが(帰りに雨が止んでいた時)、翌朝気付いてお店に連絡を入れ、すぐに回収に向かっていた。

そんな中、事件は起こった。

ある飲み会の日、お店の傘立てに置いて席に着いた。 その時点で実は少しだけ嫌な予感を感じてはいたのだが、私の傘には少し特徴的な部分があるため、そんな予感が的中することもないと感じてそのまま傘立てに置くことにしたのである。

数時間の飲食を経てお店を出ようとした時、入店時の予感が的中。 私の傘が傘立てになかったのである。

そして残っていたのは私が入店した時にすでに置いてあった他人の傘。

2つの共通点は「持ち手が黒い」というところだった。 しかしメインの布部分は色が全然違うし、実は私の傘は持ち手が少しゴテゴテしているので持った時の感覚でわかると思うのだが…。

まぁ、酔っ払った人が取り違えたのであろう。 私は仕方なくその日は店に事情を伝えた上でその傘を差して帰り、後日店に返しに行った。 シラフに戻った取り違えた相手が気付いて、私の傘も返ってくるのでは、と期待をして店に私の傘の情報や見つかった時の連絡先を伝えてはいたのだが、3年ほど経った今でも店から連絡は来ていない。 「傘ごときで大袈裟な」と思う人もいるかもしれないが、念のため警察にも届け出ておいたが見つからなかった。

万が一取り違えではなく、ブランド傘を狙った中古転売のための盗難だった場合も考え、しばらくの間はオークションサイトやフリマサイトもチェックしていたが見つからなかった。

取り違えた相手がそのまま使っている可能性もあるため、その飲み屋のある街とその周辺では雨の日に道ゆく人の傘に目を配っていたが見つからなかった。

就職を記念して父に買ってもらった大好きな傘だったが、私の元に返ってくることはなかった。

しかも先代の傘に比べれば2年半という短い使用期間だったため、本当に悲しかった。

後日、仕方なく私は同じブランドの少しだけ柄が似た傘を買ったが、なくなってしまった方の傘ほどは気にいることができていない。

でもその傘も使い始めてもう3年くらい経っている。 時が愛着を生み出してくれてはいるので、このままできる限り長く使っていきたいと思うし、もう飲み屋の傘立てに大事な傘は置かないと心に誓った。

今週のお題「傘」